Amazonベストセラー『がん治療選択』の続編を綴る。
10月5日(火)
入院の日、スーツケースを転がしながら、がんセンターに到着する。10時にカウンターで受付をする。今回は4階の病室とのこと。このフロアに入院するのは初めてのことだ。
受付を済ますと、エレベーターに乗って、4階で降りず、5階まで上がった。このフロアに、前日からSさんが入院している。
このフロアは顔見知りの看護師が多い。見つかって話し込むのもやっかいなので、目的のSさんの病室にわき目もふらずに進んでいく。
ドアの付近で声をかける
「どうだ。元気かあ」
窓側の方からSさんの声。
「あ、元気元気。こっちに来て、イスに座ってえ」
ベッドの横に行って、パイプイスを広げて座る。久々に会ったが、顔色は良さそうだ。ただ、何か雰囲気が違う。ショートヘアになっている。
「あれ、髪切った?」
「そうそう。だってほら、金田さんは抗がん剤の前に、坊主頭にしたんでしょ」
そうだった。髪の毛が抜けると掃除が面倒なので、自分で刈り上げてしまった。その方が、何かと楽である。それにならって、髪型を短くしたわけだ。
「で、どうよ、調子は?」