Amazonベストセラー『がん治療選択』の続編を綴る。
8月23日(月)
定期検査で、いつものように内視鏡センターのベッドに横たわる。
「では、麻酔を入れます」
そう告げられて検査が始まったが、今日の麻酔はほとんど効いていない。いつもは、開始直後から意識が朦朧として、ほぼ昏睡した状態で検査が進む。
だが、今日は意識がはっきりとしている。
胃カメラを操作している医師の背後で、モニターに映し出された画像をチェックしている別の医師がいる。その医師が見ている画面の文字が読み取れる。
「リンパ転移の疑い」
そんな文字が見える。それは、集中治療をしていた頃の情報なのか、それとも最近のことなのか……そんなことをぼんやりと考えながら、検査が進んでいく。