Amazonベストセラー『がん治療選択』の続編を綴る。
7月6日(火)
「肩ですか」
診察室に入るや、小島先生はそう言って私の方に視線を向ける。
「そうなんですよ。左肩が痛むので、近所の整形外科で診てもらったら、逆に右肩がおかしいって言われまして」
私はTシャツの袖を肩の上までまくりあげて、両腕を前に伸ばす。右肩が大きく膨らむ。
「なるほど」
そう言うと、半年前のPET-CTの画像をパソコンに映し出しながら、チェックする。私も覗き込もうとするが、よく見えない。
「うちに、骨軟部腫瘍科があるんで、そこの先生に見てもらいます?」
「ぜひ、お願いします」
私がそう答えると、小島先生はすぐにパソコンで予約状況を調べる。
骨軟部腫瘍科ということは、骨ガンの疑いがあるということなのだろうか。昨夜、サイトで調べてみたが、食道ガンから転移する場所としては珍しいことではないようだ。
「明日11時で大丈夫ですか」
「それでお願いします」