Amazonベストセラー『がん治療選択』の続編を綴る。
3月16日(火)〜3月19日(金)
久しぶりに、都心部の駅に降り立った。
JR目黒駅。駅前のビルに、米大手週刊誌「ニューズウィーク」の日本版編集部がある。今日は久々の打ち合わせだ。数日前、編集者の小暮聡子さんと連絡をとり、企画会議をすることにした。長岡編集長も同席してくれて、話が始まる。
「金田さん、病気、大変でしたね」
小暮さんにそう切り出された。大病をした後の再会では、当然、この話から始まる。「また、長くなるな」と心の中で苦笑いする。なにせ、普通の治療とは内容が違う。
とりあえず、ガン発覚から東大病院、そしてがんんセンターに転院して、さらに放射線治療に切り替える話をした。当然、聞いた相手は、驚くことになる。
一通り話し終わるのに30分。これでも、かなり短縮できるようになってきた。
編集部に静寂が流れる。小暮さんが、ポツリとこう言った。
「それ、カバー(巻頭特集)になりますね」
思いがけない話に、私は首をかしげる。
「いや、個人の闘病記だから、ニューズウィークの特集にはどうかなあ」
私は、ためらっていた。というのも、雑誌の編集を長年やってきて、個人の闘病記を巻頭特集にするというのは「あり得ない」と思っていたからだ。
「この話、出版も決まってますし」