Amazonベストセラー『がん治療選択』の続編を綴る。
12月16日(水)
PET・CT検査のために柏の葉の三井ガーデンホテルに宿泊する。今回はホテルが混み合っていたため、喫煙フロアしか空いていなかった。エレベーターが5階で開くと、タバコの臭いが鼻につく。だが、廊下の奥にある501号室に着くまでに、すっかり臭いには慣れていた。ルームカードをかざして部屋に入ると、懐かしい感覚に包まれる。窓の外には見慣れた風景が広がる。それは、夏に1カ月以上滞在した601号室の真下の部屋だった。
また、治療を終えて、こうしてホテルの同じ眺めの部屋に泊まることになるとは、当時は想像だにしていなかった。ただ、明日のPETの結果次第では、またガン治療が再開することになるかもしれない。
だが、かつて東大病院のカフェテリアから眺めていた外の風景とは、明らかに見え方が違う。
もう、できることはやりきった。これから、たとえガンが再発したとしても、後悔することはない。自分が決めた治療を受け、やりきった充実感がある。
翌17日、これまでとは違う治療室に向かう。放射能の入った薬剤を注射され、そのままソファベッドに1時間、横になって休む。こうしているうちに薬剤がガンの周囲に集まることで、腫瘍の場所を特定できる。だが、筋肉を動かしてしまうと、そこにも薬剤が反応してしまう。そのため、患者たちはソファが並んだ部屋で休む。
「セレブのガン検査」