無念を綴る

海の幻影

加藤茂雄 (俳優、漁師)

黒澤映画に端役として登場し続けた役者が、94年の人生に幕を閉じた。鎌倉の漁師町で生まれ育ち、俳優になっても自宅のある由比ヶ浜から撮影現場に通っていた。演劇との出会いは、戦後、鎌倉に生まれた「幻の大学」でのこと。そこから映画の世界に引き込まれていった。映画産業が衰退しても、漁師として収入を得ながら俳優業を続けた。そして、93歳にして初の主演映画が制作される——その人生は夢なのか、現実なのか。(文・写真 金田 信一郎)

有料記事(月500円で全記事閲読可)

会員登録・ログインして定期購読を開始する