再発の行方(34)

新薬開発の中心地 (文:金田 信一郎)

夜になり、国立がんセンターに隣接するパークサイドホテルにチェックインする。駅前のホテルと違って、周囲には店もなく、眼前に巨大な公園が広がっている。

明日は抗がん剤を打つ。前回のような外科や放射線科の診察はない。

おそらく、淡々と終わるだろう。

都内での取材を終えて、夜に部屋に入る。

ホテル前の道路は、ほとんどクルマが走っていない。その先にある公園も人気ひとけがなく静まりかえっている。

この一帯は東大、千葉大のキャンパスが広がっている。また、多くの研究所が集積している。

それは、偶然のことではない。

がんセンターを中心にして、大学、製薬大手、ベンチャーの研究者が集まり、交流し、新たな医療や医薬品の開発を進めている。外国人研究者の姿も多い。

かつて、がんセンター東病院の大津敦病院長(当時)にインタビューしたことがある。彼は、柏の葉という街について、自信を持ってこう語っていた。

「ユニークな街になると思います。次の世代の人が活躍する基盤をできるだけつくって、新しい医療をより早く患者さんに提供し、海外に負けない開発研究の拠点となることを夢見て(研究開発を)進めていきます」

私が今、使っているオプジーボとヤーボイという2つの薬は、日本と米国が競うように開発競争をした薬である。そして、オプジーボ開発の研究で有名な日本人研究者などの開発センターと、国立がんセンターはがん免疫医療、がんゲノム医療を中心に包括連携を開始している。

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