午後3時30分、がんセンター到着。
久々にCT検査を受ける。
これほど遅い時間にがんセンターを訪れるのは初めてだ。
いつものように造影剤を注射し、CTを撮影する。
夕暮れ近く、がんセンターを後にする。駅前に戻ると、そのまま三井ガーデンホテルにチェックインする。
明日は朝7時過ぎには病院に戻る。血液検査を受けてから内科のK先生の診察を受け、CTの結果を聞き、問題がなければ抗がん剤を打つ。
約2週間に1度のペースで受けている抗がん剤(免疫チェックポイント阻害剤のオプヂーボとヤーボイ)の治療だ。ちなみに、ヤーボイは6週に1回なので、オプヂーボだけ打つことも多い。明日はオプヂーボとヤーボイの2剤を続けて打つことになっている。
だが、その治療を予定通りに出来るかどうかは、直前のCTと血液という2検査の結果次第である。
もし、CTでガンが大きくなっていたり、血液の数値が悪化していれば、明日の治療は中止になる。
つまり、明日に判明するCT結果によっては、オプヂーボ+ヤーボイの治療を断念することになる。
それは、私にとって、ガン治療の「ジ・エンド」を意味する。
もし免疫チェックポイント阻害剤が継続不能となれば、がんセンターは強力な殺細胞性抗がん剤を提案してくるだろう。
だが、私はそれを受ける気はない。
なぜなら、殺細胞性抗がん剤は一時的にガンの縮小効果があっても、私の体はそれを長くは続けられないからだ。すでに5年前に5クールを受けて、最終5クール目は血液の数値が戻らず、開始が危ぶまれるほどだった。
強い副作用が生じて、生活の質は著しく落ちるだろう。しかも、健康な人のように連続投与はできないこともあって、延命効果はそれほど高くない。「生存期間にはほとんど寄与しない」と言う医師もいる。
明日のCT結果は、私にとってガン治療の大きな分岐点になる。
翌朝早く、まだ通勤客が少ないバスに乗ってがんセンターに向かう。まず血液検査を終え、内科の受付前のソファーで待つ。
呼出機が鳴る。