再発の行方(25)

ヤーボイの効果 (文:金田 信一郎)

午後3時30分、がんセンター到着。

久々にCT検査を受ける。

これほど遅い時間にがんセンターを訪れるのは初めてだ。

いつものように造影剤を注射し、CTを撮影する。

夕暮れ近く、がんセンターを後にする。駅前に戻ると、そのまま三井ガーデンホテルにチェックインする。

明日は朝7時過ぎには病院に戻る。血液検査を受けてから内科のK先生の診察を受け、CTの結果を聞き、問題がなければ抗がん剤を打つ。

約2週間に1度のペースで受けている抗がん剤(免疫チェックポイント阻害剤のオプヂーボとヤーボイ)の治療だ。ちなみに、ヤーボイは6週に1回なので、オプヂーボだけ打つことも多い。明日はオプヂーボとヤーボイの2剤を続けて打つことになっている。

だが、その治療を予定通りに出来るかどうかは、直前のCTと血液という2検査の結果次第である。

もし、CTでガンが大きくなっていたり、血液の数値が悪化していれば、明日の治療は中止になる。

つまり、明日に判明するCT結果によっては、オプヂーボ+ヤーボイの治療を断念することになる。

それは、私にとって、ガン治療の「ジ・エンド」を意味する。

もし免疫チェックポイント阻害剤が継続不能となれば、がんセンターは強力な殺細胞性抗がん剤を提案してくるだろう。

だが、私はそれを受ける気はない。

なぜなら、殺細胞性抗がん剤は一時的にガンの縮小効果があっても、私の体はそれを長くは続けられないからだ。すでに5年前に5クールを受けて、最終5クール目は血液の数値が戻らず、開始が危ぶまれるほどだった。

強い副作用が生じて、生活の質は著しく落ちるだろう。しかも、健康な人のように連続投与はできないこともあって、延命効果はそれほど高くない。「生存期間にはほとんど寄与しない」と言う医師もいる。

 

明日のCT結果は、私にとってガン治療の大きな分岐点になる。

 

翌朝早く、まだ通勤客が少ないバスに乗ってがんセンターに向かう。まず血液検査を終え、内科の受付前のソファーで待つ。

呼出機が鳴る。

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