「金田さん、ヤーボイ、効くから」
ガン友との会食中、女優の秋野暢子氏がそう言った。
「大丈夫、効くから」
そう繰り返す。
私が始めた免疫チェックポイント阻害剤が効くという。
彼女は接種したことがない。
特に根拠のない話だ。そんなことを繰り返し断言する人は、まずいない。
彼女の食道ガン治療の知識と経験は高いレベルにある。医師や患者団体と密に連携を取って、ガン治療に関して知見を積み上げ、発信を続けている。
だからして、インパクトがある。
帰り際、こんなことも言った。
「私、抗がん剤、やりますよ。だって副作用もないし、髪の毛も抜けないから」
相変わらず断定調である。そこが、彼女の強さだ。
ちなみに、秋野氏は現在のところ、抗がん剤をやる必要はない。要するに、「自分は抗がん剤なんて恐れてないし、必要ならバンバン打つから、あんたもがんばれ」という意味だ。
で、その言葉が、翌朝、抗がん剤(オプヂーボ+ヤーボイ)投与の前になっても、まだ脳裏に残っていた。
「ヤーボイ、効くから」
うむ。根拠はない。
だが、なぜかその言葉が頭から離れない。