手術後、2日目の夜がやってくる。昨夜は一睡もできなかった。さすがに今夜は眠りたい。
消灯の午後10時、点滴に睡眠剤を入れてもらう。手元にあるモルヒネのスイッチを押して、投与量を増やしていく。痛みが抜けていき、意識が朦朧としてくる。
目を瞑って眠りに落ちるのを待った。
だが、意識は薄れながらも、どうしても眠ることができない。
再びモルヒネのスイッチを押す。液体が針を通して血管に流れ込み、体が熱くなっていく。睡眠剤とモルヒネを打ち過ぎたかもしれない。息が苦しい。
ベッドの上で悶絶する。全身の毛穴から汗が滴る。
その時、突然、瞼の裏に映像が流れた。
まるで映画館で観るスクリーン映画のようだ。
闇夜に沈む荒廃した住宅街——。その建物の間を、歩く程度の速度で映像が流れていく。住宅からは微かな灯りが漏れている。だが、どの家も外壁がひどく損壊している。
おそらく戦後ドイツの風景である。