がんセンターに昼過ぎに到着して、受付機に診察カードを入れる。
今日の予定が打ち出される。
その一覧を見て、はっと思った。
今日は、半年に1度の頭頸部外科の診察だった。
2年前に受けた喉の内視鏡手術の経過観察として、半年に1度、診察してもらっている。そのために来たはずだった。
13時からの頭頸部外科の診察は、もちろん予定通りに表示されている。
だが、その後に消化器内科のK先生、そして内視鏡治療科のD先生と診察予定が追加されている。
──何か、先週の件で大きな問題があったな。
そう思った。
この突然の診察追加が何を意味しているのか想像できる。
つまり、1週間前の検査結果で、早期に治療しなければならない何かがあったのだ。
まずは、定期診察のため、頭頸部外科の待合室のソファで診察を待った。
診察が始まり、一通り喉を見てもらうと、M先生は何ごともなかったように言った。
「問題ないですね。では、次は半年後にしましょう」
そう言ってから、パソコンを見ながらこう付け加えた。
「ただ、胃に何かあるようなので、このあと、内科に行ってください」
えっ、胃に何かある……。
予想しなかった。胃ガンということなのだろうか?
消化管内科のK先生の診察室に入る。
いつものように落ち着き払っている。
「カルテ見ていたら、気になる所がありまして。で、今日、M先生の診察が入っていたんで、寄ってもらいました」
「胃なんですか?」
「うん。内視鏡(の画像)で、胃にモコっとしているところがある。胃の上の方です」
「今回、初めてわかった場所ですか」
「今回初めてですね」
その内視鏡の画像には、確かにぽっこりと盛り上がった腫瘍が見える。
「以前までなかった15㍉の盛り上がりがあります。CTを見ると、同じ場所にリンパ節がある。そのリンパ節が腫れている。それが胃にくっついているので、胃が盛り上がって見えている」
つまり、リンパ節に転移して再発したということだろう。
「で、この後はどうなるんでしょう?」