仕事への矜持

佐々涼子と日本製紙 (文:金田 信一郎)

今年も多くの才能が世を去った。

指揮者の小澤征爾や漫画家の楳図かずお、声優の大山のぶ代など、ニュースで大きく取り上げられた。

経済分野では北島義俊(大日本印刷会長)、出光昭介(出光興産名誉会長)、福地茂雄(アサヒビール元会長)といった大物が逝った。

みなさんも、思い入れが深かった人がいたのではないだろうか。

私も、同士であり、1つの指標のような存在を失った。

おなどしのジャーナリスト、佐々涼子。享年56歳。

早大卒業と同時に結婚、その後、夫の転勤で全国を転々とした。

39歳の時にライタースクールに通い、作家デビューする。5年後、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で開高健賞を受賞し、ノンフィクションの世界で名が知られる存在になった。

私は当時、この作品を読んでいなかった。

直接会ったこともない。

だが、3年前、ひょんなことからネットで対談することになる。

当時、私はステージ3の難治がんの治療から抜け出した所だった。ダイヤモンド社から闘病記を出版すると、編集者から提案を受ける。

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